会社法 条文 会社法 解説
第1編 総則

第2章 会社の商号
本章の規定は、商法の以下の条文にも同じ趣旨のものが多い。
第11条〜第18条
第6条 【商号】

 @ 会社は、その名称を商号とする。

 A 会社は、株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社の種類に従い、それぞれその商号中に株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社という文字を用いなければならない。

 B 会社は、その商号中に、他の種類の会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
商人が営業上自己を表示するために用いる名称を商号という。会社はその名称が商号となり、その商号中に会社の種類を表す文字を用いなければならない(例えば、株式会社であれば、○○株式会社など)。また、他の種類の会社であると誤認される可能性のある文字を使ってはいけない(例えば、株式会社ではないのに、○○(株)など)。
第7条 【会社と誤認させる名称等の使用の禁止】

 会社でない者は、その名称又は商号中に、会社であると誤認されるおそれのある文字を用いてはならない。
商売をしている場合、その形態が会社の場合もあれば、個人事業主である場合もある。後者の個人事業主は会社ではないが、商号を用いて商売をすることができるが、その場合、会社であると誤認される可能性のある文字を使用することはできない。
第8条 【会社と誤認させる名称等の使用の禁止】

 @ 何人も、不正の目的をもって、他の会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない。

 A 前項の規定に違反する名称又は商号の使用によって営業上の利益を侵害され、又は侵害されるおそれがある会社は、その営業上の利益を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
会社の商号権の内容には以下のものがある。
会社の商号権
商号使用権 他人の妨害を受けずに商号を使用できる権利
商号専用権 他人が不正の目的をもって自己の商号と同一または類似の商号を使用することに対し、停止または予防を請求できる権利
※不正の目的とは、不正な競争や嫌がらせなどのことである。
第9条 【自己の商号の使用を他人に許諾した会社の責任】

 自己の商号を使用して事業又は営業を行うことを他人に許諾した会社は、当該会社が当該事業を行うものと誤認して当該他人と取引をした者に対し、当該他人と連帯して、当該取引によって生じた債務を弁済する責任を負う。
本条は、商法の第14条と同じで、名板借り人と取引をした第三者を保護するための規定である。名板借り人を名板貸し人だと思って取引をした第三者がいた場合、名板貸し人は名板借り人と連帯して、その取引から生じた債務を支払わなければならない。

ただし、名板貸人の責任範囲は取引行為に限られ、非取引行為によって生じた損害賠償責任まで負う必要はない。