会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第2章 株式

第10節 雑則
第234条 【一に満たない端数の処理】


 @ 次の各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の株式を交付する場合において、その者に対し交付しなければならない当該株式会社の株式の数に一株に満たない端数があるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数がある場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を当該者に交付しなければならない。

 1 第百七十条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主

 2 第百七十三条第一項の規定による株式の取得 当該株式会社の株主

 3 第百八十五条に規定する株式無償割当て 当該株式会社の株主

 4 第二百七十五条第一項の規定による新株予約権の取得 第二百三十六条第一項第七号イの新株予約権の新株予約権者

 5 合併(合併により当該株式会社が存続する場合に限る。) 合併後消滅する会社の株主又は社員

 6 合併契約に基づく設立時発行株式の発行 合併後消滅する会社の株主又は社員

 7 株式交換による他の株式会社の発行済株式全部の取得 株式交換をする株式会社の株主

 8 株式移転計画に基づく設立時発行株式の発行 株式移転をする株式会社の株主

 A 株式会社は、前項の規定による競売に代えて、市場価格のある同項の株式については市場価格として法務省令で定める方法により算定される額をもって、市場価格のない同項の株式については裁判所の許可を得て競売以外の方法により、これを売却することができる。この場合において、当該許可の申立ては、取締役が二人以上あるときは、その全員の同意によってしなければならない。

 B 前項の規定により第一項の株式を売却した場合における同項の規定の適用については、同項中「競売により」とあるのは、「売却により」とする。

 C 株式会社は、第二項の規定により売却する株式の全部又は一部を買い取ることができる。この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

 1 買い取る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)

 2 前号の株式の買取りをするのと引換えに交付する金銭の総額

 D 取締役会設置会社においては、前項各号に掲げる事項の決定は、取締役会の決議によらなければならない。

 E 第一項から第四項までの規定は、第一項各号に掲げる行為に際して当該各号に定める者に当該株式会社の社債又は新株予約権を交付するときについて準用する。
本条と次条は、株式に一株に満たない端数が生じる場合の処理方法についての規定である。通常であれば、一株に満たない端数が生じることはないが、合併や株式分割などにより、端数が生じることがある。

旧商法では端株制度というのが認められていたが、会社法では廃止されたため、端数を株式として扱うことはできない。

本条第1項各号の事由により端数が生じた場合は、端数の合計数に相当する数の株式を競売し、それによって得られた代金を端数に応じて配分する。例えば、端数0.1が2000個生じた場合、0.1×2000で200株を競売にかける。この200株が200万円になったとすると、200万円÷2000で、端数0.1あたり1000円を配分することになる。

また、会社は競売以外の方法でも端数の株式を売却することができる。この場合、もし市場価格があれば市場価格による売却となり、ない場合は裁判所の許可を得て売却することになる。この場合、会社が買主となることもできる。
第235条 【一に満たない端数の処理 その2】

 @ 株式会社が株式の分割又は株式の併合をすることにより株式の数に一株に満たない端数が生ずるときは、その端数の合計数(その合計数に一に満たない端数が生ずる場合にあっては、これを切り捨てるものとする。)に相当する数の株式を競売し、かつ、その端数に応じてその競売により得られた代金を株主に交付しなければならない。

 A 前条第二項から第五項までの規定は、前項の場合について準用する。
本条は、株式分割や株式併合によって生じた端数の処理方法についての規定である。処理方法については、前条(第234条)と同じである。