会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第2章 株式

第5節 株式の併合等

第2款 株式の分割
第183条 【株式の分割】

 @ 株式会社は、株式の分割をすることができる。

 A 株式会社は、株式の分割をしようとするときは、その都度、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。

 1 株式の分割により増加する株式の総数の株式の分割前の発行済株式(種類株式発行会社にあっては、第三号の種類の発行済株式)の総数に対する割合及び当該株式の分割に係る基準日

 2 株式の分割がその効力を生ずる日

 3 株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類
株式会社は、株式の分割を行うことができる。株式の分割とは、厳密には同一の種類の株式について一定割合で一律にその数を増加させることである。つまり、既存の株式を細分化して従来よりも多数の株式とすることである。

例えば、1株を2株にするとか、10株を100株にするようなことである。

株式の分割は、株式数を増加させて株式の市場価格下げることにより、株式の購入をしやすくするというメリットがある。

株式の分割を行う手続きとして、分割割合および基準日、効力発生日、株式会社が種類株式発行会社である場合には、分割する株式の種類をその都度、株主総会の決議によって決めなければならない。ただし、株式の併合の場合とは異なり、株式の分割は既存株主に不測の事態を与えることはないため、取締役会設置会社においては、取締役会の決議によって、これらを決めることができる。
第184条 【効力の発生等】

 @ 基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている株主(種類株式発行会社にあっては、基準日において株主名簿に記載され、又は記録されている前条第二項第三号の種類の種類株主)は、同項第二号の日に、基準日に有する株式(種類株式発行会社にあっては、同項第三号の種類の株式。以下この項において同じ。)の数に同条第二項第一号の割合を乗じて得た数の株式を取得する。

 A 株式会社(現に二以上の種類の株式を発行しているものを除く。)は、第四百六十六条の規定にかかわらず、株主総会の決議によらないで、前条第二項第二号の日における発行可能株式総数をその日の前日の発行可能株式総数に同項第一号の割合を乗じて得た数の範囲内で増加する定款の変更をすることができる。
株式の分割が行われる株式会社の株主は、効力発生日において、「基準日に有する株式数×分割割合」という計算式によって算出された数の株式の株主となる。

会社が定款に記載・記録した発行可能株式総数を変更するには、株主総会の決議によらなければならないのが原則である(第466条)。しかし、二種類以上の株式を発行していない会社が株式の分割を行う場合には、株主総会の決議によらずに、分割に応じて発行可能株式総数を比例的に増加させる定款の変更をすることができる。

例えば、発行可能株式総数100万株、発行済株式総数50万株の会社が、1株を2株に分割する場合、取締役会の決議によって分割後の発行可能株式総数を200万株とすることができる。