会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第2章 株式

第6節 単元株式数

第2款 単元未満株主の買取請求
第192条 【単元未満株式の買取りの請求】

 @ 単元未満株主は、株式会社に対し、自己の有する単元未満株式を買い取ることを請求することができる。

 A 前項の規定による請求は、その請求に係る単元未満株式の数(種類株式発行会社にあっては、単元未満株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。

 B 第一項の規定による請求をした単元未満株主は、株式会社の承諾を得た場合に限り、当該請求を撤回することができる。
単元未満株主は、会社に対して自己が持つ株式の買取請求をすることができる。単元未満株主は、株主総会において、議決権を行使することができないためである(第189条第1項)。

また、一度買取請求をした場合、原則として撤回することはできない。自由に撤回できると、買取準備をしていた会社に不測の影響が生じる可能性があるためである。ただし、会社が撤回を承諾した場合は、撤回することができる。
第193条 【単元未満株式の価格の決定】

 @ 前条第一項の規定による請求があった場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める額をもって当該請求に係る単元未満株式の価格とする。

 1 当該単元未満株式が市場価格のある株式である場合 当該単元未満株式の市場価格として法務省令で定める方法により算定される額

 2 前号に掲げる場合以外の場合 株式会社と前条第一項の規定による請求をした単元未満株主との協議によって定める額

 A 前項第二号に掲げる場合には、前条第一項の規定による請求をした単元未満株主又は株式会社は、当該請求をした日から二十日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。

 B 裁判所は、前項の決定をするには、前条第一項の規定による請求の時における株式会社の資産状態その他一切の事情を考慮しなければならない。

 C 第一項の規定にかかわらず、第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって当該単元未満株式の価格とする。

 D 第一項の規定にかかわらず、同項第二号に掲げる場合において、第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項第二号の協議が調った場合を除く。)は、一株当たり純資産額に前条第一項の規定による請求に係る単元未満株式の数を乗じて得た額をもって当該単元未満株式の価格とする。

 E 前条第一項の規定による請求に係る株式の買取りは、当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる。

 F 株券発行会社は、株券が発行されている株式につき前条第一項の規定による請求があったときは、株券と引換えに、その請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
単元未満株主から株式の買取請求があった場合、価格は原則として次のように決める。

1、市場価格がある場合は、市場価格。
2、市場価格がない場合は、会社と単元未満株主とが協議して決める。
3、市場価格がなく会社と単元未満株主との協議がうまくいかなかった場合は、裁判所が決める。
4、3の場合で、会社と単元未満株主の両方が裁判所に対して価格決定の申し立てをしなかった場合は、「一株あたり純資産額×単元未満株式数」という計算式で求められた額となる。

買取の効果は、会社が代金を支払った時に生じる。また、株券発行会社においては、代金の支払いは株券と引き換えに行わなければならない。