会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第3章 新株予約権

第1節 総則
第236条 【新株予約権の内容】

 @ 株式会社が新株予約権を発行するときは、次に掲げる事項を当該新株予約権の内容としなければならない。

 1 当該新株予約権の目的である株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法

 2 当該新株予約権の行使に際して出資される財産の価額又はその算定方法

 3 金銭以外の財産を当該新株予約権の行使に際してする出資の目的とするときは、その旨並びに当該財産の内容及び価額

 4 当該新株予約権を行使することができる期間

 5 当該新株予約権の行使により株式を発行する場合における増加する資本金及び資本準備金に関する事項

 6 譲渡による当該新株予約権の取得について当該株式会社の承認を要することとするときは、その旨

 7 当該新株予約権について、当該株式会社が一定の事由が生じたことを条件としてこれを取得することができることとするときは、次に掲げる事項

  イ 一定の事由が生じた日に当該株式会社がその新株予約権を取得する旨及びその事由

  ロ 当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とするときは、その旨

  ハ イの事由が生じた日にイの新株予約権の一部を取得することとするときは、その旨及び取得する新株予約権の一部の決定の方法

  ニ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式を交付するときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその算定方法

  ホ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)を交付するときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

  ヘ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の他の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)を交付するときは、当該他の新株予約権の内容及び数又はその算定方法

  ト イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の新株予約権付社債を交付するときは、当該新株予約権付社債についてのホに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのヘに規定する事項

  チ イの新株予約権を取得するのと引換えに当該新株予約権の新株予約権者に対して当該株式会社の株式等以外の財産を交付するときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

 8 当該株式会社が次のイからホまでに掲げる行為をする場合において、当該新株予約権の新株予約権者に当該イからホまでに定める株式会社の新株予約権を交付することとするときは、その旨及びその条件

  イ 合併(合併により当該株式会社が消滅する場合に限る。) 合併後存続する株式会社又は合併により設立する株式会社

  ロ 吸収分割 吸収分割をする株式会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を承継する株式会社

  ハ 新設分割 新設分割により設立する株式会社

  ニ 株式交換 株式交換をする株式会社の発行済株式の全部を取得する株式会社

  ホ 株式移転 株式移転により設立する株式会社

 9 新株予約権を行使した新株予約権者に交付する株式の数に一株に満たない端数がある場合において、これを切り捨てるものとするときは、その旨

 10 当該新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)に係る新株予約権証券を発行することとするときは、その旨

 11 前号に規定する場合において、新株予約権者が第二百九十条の規定による請求の全部又は一部をすることができないこととするときは、その旨

 A 新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、当該新株予約権付社債についての社債の金額ごとに、均等に定めなければならない。
新株予約権とは、株式会社に対して行使することにより、当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利のことである(第2条第21号)。社債と組み合わせて発行したりなどして、募集株式の発行と同様に資金調達をすることができる。また、ストック・オプションとして活用したり、敵対的買収防衛策であるポイズン・ピルへの活用も可能である。

新株予約権が行使された場合、会社は、新株予約権者に対して株式を発行することもできるし、会社の有する自己株式を移転することもできる。

新株予約権を発行するには、本条第1項各号の事項を新株予約権の内容とする必要がある。また、新株予約権付社債に付された新株予約権の数は、当該新株予約権付社債についての社債の金額ごとに均等に定めなければならない。
第237条 【共有者による権利の行使】

 新株予約権が二以上の者の共有に属するときは、共有者は、当該新株予約権についての権利を行使する者一人を定め、株式会社に対し、その者の氏名又は名称を通知しなければ、当該新株予約権についての権利を行使することができない。ただし、株式会社が当該権利を行使することに同意した場合は、この限りでない。
本条は、新株予約権を複数の者と共有している場合についての規定である。この場合、共有者が各自別々に、株主としての権利を行使したのでは、会社が対応に苦慮することとなる。そのため、新株予約権を共有している者は、その中から誰か一人を決めて、会社にその者の氏名か名称を通知しなければならない。

ただし、会社が、新株予約権の共有者が各自別々に権利行使をすることを認めた場合は、共有者は各自別々に権利行使をすることができる。