会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第3章 新株予約権

第2節 新株予約権の発行

第2款 募集新株予約権の割当て
第242条 【募集新株予約権の申込み】

 @ 株式会社は、第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

 1 株式会社の商号

 2 募集事項

 3 新株予約権の行使に際して金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所

 4 前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

 A 第二百三十八条第一項の募集に応じて募集新株予約権の引受けの申込みをする者は、次に掲げる事項を記載した書面を株式会社に交付しなければならない。

 1 申込みをする者の氏名又は名称及び住所

 2 引き受けようとする募集新株予約権の数

 B 前項の申込みをする者は、同項の書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、株式会社の承諾を得て、同項の書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該申込みをした者は、同項の書面を交付したものとみなす。

 C 第一項の規定は、株式会社が同項各号に掲げる事項を記載した金融商品取引法第二条第十項に規定する目論見書を第一項の申込みをしようとする者に対して交付している場合その他募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者の保護に欠けるおそれがないものとして法務省令で定める場合には、適用しない。

 D 株式会社は、第一項各号に掲げる事項について変更があったときは、直ちに、その旨及び当該変更があった事項を第二項の申込みをした者(以下この款において「申込者」という。)に通知しなければならない。

 E 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、申込者(募集新株予約権のみの申込みをした者に限る。)は、その申込みに係る募集新株予約権を付した新株予約権付社債の引受けの申込みをしたものとみなす。

 F 株式会社が申込者に対してする通知又は催告は、第二項第一号の住所(当該申込者が別に通知又は催告を受ける場所又は連絡先を当該株式会社に通知した場合にあっては、その場所又は連絡先)にあてて発すれば足りる。

 G 前項の通知又は催告は、その通知又は催告が通常到達すべきであった時に、到達したものとみなす。
会社は、募集株式の株主割当(第241条第1項)に応じて引受けの申し込みをしようとする者に対して、以下のことを通知しなければならない(ただし、金融商品取引法に基づく目論見書を申し込み希望者に交付している場合等には、この通知は不要である)。

・株式会社の商号
・募集事項
・新株予約権の行使に際して金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱いの場所
・法務省令で定める事項

そして、この通知を受けた申し込み希望者が申し込みをする場合、氏名・名称と住所、引き受けようとする募集新株予約権の数を記した書面を会社に交付する必要がある(この書面は電磁的方法によって行うこともできる)。そして、この申し込みをした以後、申し込みをした者は「申込者」と呼ばれる。

募集新株予約権の発行手続きには会社から申込者に対して、通知や催告をしなければならない場合があるが、そのときは、会社は本条第2項第1号の住所に宛てて発送すればよく、通常到達すべきであった時に到達したものとみなされる。
第243条 【募集新株予約権の割当て】

 @ 株式会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければならない。この場合において、株式会社は、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を、前条第二項第二号の数よりも減少することができる。

 A 次に掲げる場合には、前項の規定による決定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

 1 募集新株予約権の目的である株式の全部又は一部が譲渡制限株式である場合

 2 募集新株予約権が譲渡制限新株予約権(新株予約権であって、譲渡による当該新株予約権の取得について株式会社の承認を要する旨の定めがあるものをいう。以下この章において同じ。)である場合

 B 株式会社は、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数(当該募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合にあっては、当該新株予約権付社債についての社債の種類及び各社債の金額の合計額を含む。)を通知しなければならない。

 C 第二百四十一条の規定により株主に新株予約権の割当てを受ける権利を与えた場合において、株主が同条第一項第二号の期日までに前条第二項の申込みをしないときは、当該株主は、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。
募集新株予約権の株主割当に対して申し込みがあった場合、会社はその中から割当てを受ける者と割当て数を決めなければならない。この割当て数は、申込者が申込書に記載した希望引受数よりも減少することができる(第203条)。また、募集新株予約権が譲渡制限新株予約権である場合は、割り当てる募集新株予約権の数の決定は、定款に別の定めがない限り、株主総会の決議(取締役会非設置会社)か取締役会の決議(取締役会設置会社)によらなければならない。

会社は、割当日または払い込み期日の初日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を通知する必要がある。

申込者が引き受けの申し込み期日までに申し込みをしない場合、募集新株予約権の割当てを受ける権利を失う。
第244条 【募集新株予約権の申込み及び割当てに関する特則】

 @ 前二条の規定は、募集新株予約権を引き受けようとする者がその総数の引受けを行う契約を締結する場合には、適用しない。

 A 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前項の規定の適用については、同項中「の引受け」とあるのは、「及び当該募集新株予約権を付した社債の総額の引受け」とする。
会社が募集新株予約権の発行を行うとき、それが総数引受け(一人が募集新株予約権の全てを引き受ける契約)である場合は、第242条と第243条が規定する手続きは不要である。
第245条 【新株予約権者となる日】

 @ 次の各号に掲げる者は、割当日に、当該各号に定める募集新株予約権の新株予約権者となる。

 1 申込者 株式会社の割り当てた募集新株予約権

 2 前条第一項の契約により募集新株予約権の総数を引き受けた者 その者が引き受けた募集新株予約権

 A 募集新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、前項の規定により募集新株予約権の新株予約権者となる者は、当該募集新株予約権を付した新株予約権付社債についての社債の社債権者となる。
本条は、新株予約権者たる地位の取得についての規定である。

募集新株予約権の募集に応じた申込者は、会社の割り当てた数の募集新株予約権の新株予約権者となる(本条第1項第1号)。総数引受けの場合は、その者が引き受けた数の募集新株予約権の新株予約権者となる(本条第1項第1号)。