会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第3章 新株予約権

第4節 新株予約権の譲渡等

第2款 新株予約権の譲渡の制限
第262条 【新株予約権者からの承認の請求】

 譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、その有する譲渡制限新株予約権を他人(当該譲渡制限新株予約権を発行した株式会社を除く。)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限新株予約権を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。
本条は、譲渡制限株式を譲渡により取得する場合の、新株予約権者からの譲渡承認請求についての規定である。

新株予約権を発行する会社は、新株予約権の発行に際して、新株予約権の譲渡については会社の承認を必要とする旨を新株予約権の内容として定めることができる(第236条第1項第6号)。これを譲渡制限新株予約権という。これは、会社にとって好ましくない者が株主となることを防ぐためである。

譲渡制限新株予約権の新株予約権者は、その譲渡制限新株予約権を他人に譲渡するとき、会社に対してその譲渡を承認するか否かの決定をするよう請求することができる。
第263条 【新株予約権取得者からの承認の請求】

 @ 譲渡制限新株予約権を取得した新株予約権取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限新株予約権を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

 A 前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した新株予約権の新株予約権者として新株予約権原簿に記載され、若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人と共同してしなければならない。
本条は、譲渡制限株式を譲渡により取得する場合の、新株予約権取得者からの譲渡承認請求についての規定である。

新株予約権を発行する会社は、新株予約権の発行に際して、新株予約権の譲渡については会社の承認を必要とする旨を新株予約権の内容として定めることができる(第236条第1項第6号)。これを譲渡制限新株予約権という。これは、会社にとって好ましくない者が株主となることを防ぐためである。

譲渡制限新株予約権の新株予約権取得者は、その譲渡制限新株予約権を譲渡されたとき、会社に対してその譲渡を承認するか否かの決定をするよう請求することができる。

新株予約権取得者から譲渡等承認請求をする場合、法務省令で定める一定の場合を除いて、新株予約権原簿に記載された新株予約権の譲渡人と共同でしなければならない。これは新株予約権が譲渡された事実の存在を明確にするためである。
第264条 【譲渡等承認請求の方法】

 次の各号に掲げる請求(以下この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。

 1 第二百六十二条の規定による請求 次に掲げる事項

  イ 当該請求をする新株予約権者が譲り渡そうとする譲渡制限新株予約権の内容及び数

  ロ イの譲渡制限新株予約権を譲り受ける者の氏名又は名称

 2 前条第一項の規定による請求 次に掲げる事項

  イ 当該請求をする新株予約権取得者の取得した譲渡制限新株予約権の内容及び数

  ロ イの新株予約権取得者の氏名又は名称
本条は、譲渡制限新株予約権を譲渡により取得する場合の、譲渡等承認請求の方法についての規定である。

請求者 第264条 明らかにしなければならない事項
新株予約権者(第262条) 第1号 ・譲渡しようとする譲渡制限新株予約権の内容と数
・新株予約権を譲り受ける者の氏名・名称
新株予約権取得者(第263条第1項) 第2号 ・取得した譲渡制限新株予約権の内容と数
・新株予約権取得者の氏名・名称
第265条 【譲渡等の承認の決定等】

 @ 株式会社が第二百六十二条又は第二百六十三条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。ただし、新株予約権の内容として別段の定めがある場合は、この限りでない。

 A 株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。
譲渡制限新株予約権の譲渡による取得を承認(第262条、第263条第1項)する機関のことを、譲渡承認機関という。取締役会設置会社においては取締役会、取締役会非設置会社においては株主総会が譲渡承認機関となる。ただし、定款でこれと違う定めをした場合はそれに従う。

会社は、譲渡制限新株予約権の譲渡による取得の許否をした場合、譲渡等承認請求者に当該決定の内容を通知しなければならない。これは、譲渡を承認する場合だけでなく、拒否する場合にもしなければならない。
第266条 【株式会社が承認をしたとみなされる場合】

 株式会社が譲渡等承認請求の日から二週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)以内に前条第二項の規定による通知をしなかった場合には、第二百六十二条又は第二百六十三条第一項の承認をしたものとみなす。ただし、当該株式会社と当該譲渡等承認請求をした者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。
会社は、譲渡制限新株予約権の譲渡による取得の許否をした場合、譲渡等承認請求者に当該決定の内容を通知しなければならない(第265条第2項)。

そして、この通知は、新株予約権者・新株予約権取得者から譲渡等承認請求があった日から二週間以内にしなければならず、もしその間にしなかった場合は原則として譲渡による取得を承認したものとみなされる。これは新株予約権取引の迅速性を確保するためである。

ただし、会社と当該譲渡等承認請求者との間で、別の定めをしている場合は、それに従う。