会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第4章 機関

第10節 委員会及び執行役

第3款 委員会の運営
第410条 【招集権者】

 委員会は、当該委員会の各委員が招集する。
委員会の招集権は当該委員会の各委員にある。これは、取締役会の招集の場合とは違い、例外はない。
第411条 【招集手続等】

 @ 委員会を招集するには、その委員は、委員会の日の一週間(これを下回る期間を取締役会で定めた場合にあっては、その期間)前までに、当該委員会の各委員に対してその通知を発しなければならない。

 A 前項の規定にかかわらず、委員会は、当該委員会の委員の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。

 B 執行役等は、委員会の要求があったときは、当該委員会に出席し、当該委員会が求めた事項について説明をしなければならない。
委員会を招集する場合、原則として委員会の日の1週間前までに各委員にその通知を発しなければならない(第1項)。ただし、定款において1週間という期間を短縮することができる。

また、委員会の委員全員の同意がある場合は、招集手続きを省略することができる(第2項)。

執行役等は、委員会の要求があれば、当該委員会に出席し、求められた事項について説明しなければならない(第3項)。
第412条 【委員会の決議】

 @ 委員会の決議は、議決に加わることができるその委員の過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)が出席し、その過半数(これを上回る割合を取締役会で定めた場合にあっては、その割合以上)をもって行う。

 A 前項の決議について特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない。

 B 委員会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した委員は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

 C 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

 D 委員会の決議に参加した委員であって第三項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
委員会の決議は、原則として議決に加わることができる委員の過半数が出席し、その過半数をもって行う(第1項)。ただし、定足数、議決数ともに、定款で加重することができる。また、当該決議に特別の利害関係を有する委員は、議決に加わることができない(第2項)。

委員会の議事については、議事録を作成しなければならない(第3項)。この議事録は電磁的方法により作成することが可能である(第4項)。

委員会の決議に参加した委員が議事録に異議をとどめない場合は、その決議に賛成したものとみなされる(第5項)。ただし、これは推定であるため、当該委員が賛成していないという証明をすれば、推定を覆すことができる。
第413条 【議事録】

 @ 委員会設置会社は、委員会の日から十年間、前条第三項の議事録をその本店に備え置かなければならない。

 A 委員会設置会社の取締役は、次に掲げるものの閲覧及び謄写をすることができる。

 1 前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面

 2 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したもの

 B 委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、第一項の議事録について前項各号に掲げるものの閲覧又は謄写の請求をすることができる。

 C 前項の規定は、委員会設置会社の債権者が委員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。

 D 裁判所は、第三項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該委員会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第三項の許可をすることができない。
委員会を開催した場合、議事録を作成しなければならない。この議事録は委員会の日から10年間本店に備え置かなければならない(本条第1項)。

委員会設置会社の取締役は、議事録の閲覧・謄写を請求することができる(本条第2項)。委員会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得た上で、議事録の閲覧・謄写を請求することができる(本条第3項)。委員会設置会社の債権者は委員の責任を追及するため必要があるとき、委員会設置会社の親会社の社員はその権利を行使するため必要があるとき、裁判所の許可を得た上で議事録の閲覧・謄写を請求することができる(本条第2項から第4項)。

裁判所は、当該委員会設置会社またはその親会社と子会社に著しく損害を及ぼすおそれがある場合は、閲覧・謄写の許可をすることができない(本条第5項)。
第414条 【委員会への報告の省略】

 執行役、取締役、会計参与又は会計監査人が委員の全員に対して委員会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を委員会へ報告することを要しない。
執行役、取締役、会計参与、会計監査人が委員会に報告すべき事項があったとしても、委員の全員に対してその事項を通知すれば、委員会へ報告する必要はない。報告事項については、内容さえ把握できれば良いためである。