会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第4章 機関

第2節 株主総会以外の機関の設置
第326条 【株主総会以外の機関の設置】

 @ 株式会社には、一人又は二人以上の取締役を置かなければならない。

 A 株式会社は、定款の定めによって、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、会計監査人又は委員会を置くことができる。
会社法では、会社の性質や規模にあわせて柔軟な機関設計ができるよう大幅な裁量が認められている(これを機関設計自由の原則という)。これには以下の基本的なルールがある。

・全ての株式会社には、取締役を設置しなければならない(本条第1項)
・取締役会を設置する場合、監査役(監査役会を含む)または三委員会のいずれかを設置しなければならない(第327条第2項、第328条第1項)。ただし、大会社以外の株式譲渡制限会社において、会計参与を設置する場合はこの限りではない(第327条但し書き)。
・公開会社には、取締役会を設置しなければならない(第327条第1項第1号)
・監査役(監査役会を含む)と三委員会をともに設置することはできない(第327条)
・取締役会を設置しない場合、監査役会と三委員会を設置することはできない(第327条第1項第2号、第3号)
・会計監査人を設置するには、監査役(監査役会を含む)または三委員会(大会社である公開会社では、監査役会または三委員会)のいずれかを設置しなければならない(第327条第3項、第5項)
・会計監査人を設置しない場合、三委員会を設置することはできない(第327条第5項)
・大会社には、会計監査人を設置しなければならない(第328条第2項)

このように複数のルールがある。これらのルールに抵触しない限り、設置が義務付けられていない場合であっても、定款により取締役会、会計参与など機関を設置することは可能である(本条第2項)。
第327条 【取締役会等の設置義務等】

 @ 次に掲げる株式会社は、取締役会を置かなければならない。

 1 公開会社

 2 監査役会設置会社

 3 委員会設置会社

 A 取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。ただし、公開会社でない会計参与設置会社については、この限りでない。

 B 会計監査人設置会社(委員会設置会社を除く。)は、監査役を置かなければならない。

 C 委員会設置会社は、監査役を置いてはならない。

 D 委員会設置会社は、会計監査人を置かなければならない。
本条は、取締役会、監査役、会計監査人の設置または不設置義務についての規定である。

公開会社、監査役会設置会社、委員会設置会社は取締役会を設置しなければならない(第1項)。取締役会とは、取締役が複数いる場合に意思統一をはかる場である。開催するには、3人以上の取締役が必要である(第331条第4項)。逆に書くと、取締役会設置会社においては、3人以上の取締役を設置しなければならないということになる。

委員会設置会社を除く取締役設置会社であって、かつ、公開会社ではない会計参与設置会社以外の会社においては、監査役を置かなければならない(第2項)。また、委員会設置会社を除く会計監査人設置会社も監査役の設置義務が課されている(第3項)。

これに対して、委員会設置会社は監査役を置いてはならない(第4項)。委員会設置会社において監査業務は監査委員会が行うためである(第404条第2項)。委員会設置会社は会計監査人を置かなければならない(第5項)。委員会設置会社は世界規模のかなり大きな会社である場合が多く、会計監査業務複雑であるため、常に会計監査を会計の専門家である会計監査人に委ねておく必要性が高いためである。
第328条 【大会社における監査役会等の設置義務】

 @ 大会社(公開会社でないもの及び委員会設置会社を除く。)は、監査役会及び会計監査人を置かなければならない。

 A 公開会社でない大会社は、会計監査人を置かなければならない。
委員会設置会社を除く公開会社には、監査役会と会計監査人の設置義務が課されている(第1項)。

公開会社ではない大会社は、会計監査人を置かなければならない(第2項)。会社の情報に関して開示がされにくく、監査役だけでは会計監査の適正の担保に乏しい面があるからである。