会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第4章 機関

第8節 監査役会

第2款 運営
第391条 【招集権者】

 監査役会は、各監査役が招集する。
監査役会の招集権限は、各監査役にある。取締役会の招集の場合には例外もあるが、監査役会の場合は例外はない。
第392条 【招集手続】

 @ 監査役会を招集するには、監査役は、監査役会の日の一週間(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前までに、各監査役に対してその通知を発しなければならない。

 A 前項の規定にかかわらず、監査役会は、監査役の全員の同意があるときは、招集の手続を経ることなく開催することができる。
監査役会を招集するには、原則として監査役会の1週間前までに各監査役に通知をしなければならない。ただし、1週間という期間は定款で短縮することができる(第1項)。

また、監査役全員の同意があるときは、招集手続きを省略することができる(第2項)。監査役会を構成する監査役は、人数が少ないことが普通であるため、全員が同意している場合は省略しても不都合が生じないためである。
第393条 【監査役会の決議】

 @ 監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う。

 A 監査役会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成し、議事録が書面をもって作成されているときは、出席した監査役は、これに署名し、又は記名押印しなければならない。

 B 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されている場合における当該電磁的記録に記録された事項については、法務省令で定める署名又は記名押印に代わる措置をとらなければならない。

 C 監査役会の決議に参加した監査役であって第二項の議事録に異議をとどめないものは、その決議に賛成したものと推定する。
監査役会の決議は、監査役の過半数をもって行う。なお、取締役会のような書面による決議や持ち回り決議は認められていない。

監査役会の議事については、議事録を作成しなければならない。この議事録は電磁的方法によって作成することも可能である。

監査役会の決議に参加した監査役が議事録に異議をとどめない場合は、その決議に賛成したものと推定される。推定されるだけであって、当該監査役が賛成していないことを証明すれば、推定を覆すことが可能である。
第394条 【議事録】

 @ 監査役会設置会社は、監査役会の日から十年間、前条第二項の議事録をその本店に備え置かなければならない。

 A 監査役会設置会社の株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、次に掲げる請求をすることができる。

 1 前項の議事録が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 2 前項の議事録が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 B 前項の規定は、監査役会設置会社の債権者が役員の責任を追及するため必要があるとき及び親会社社員がその権利を行使するため必要があるときについて準用する。

 C 裁判所は、第二項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の請求に係る閲覧又は謄写をすることにより、当該監査役会設置会社又はその親会社若しくは子会社に著しい損害を及ぼすおそれがあると認めるときは、第二項の許可をすることができない。
監査役会を開催する場合は、議事録を作成しなければならない。これは、監査役会の議事内容を正確に記録しておくためである。

議事録は、監査役会の日から10年間、本店に備え置かなければならない。情報を保存・公開するためである。株主は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得た上で、議事録の閲覧・謄写を請求することができる。取締役会議事録の閲覧・謄写の場合とは異なり、裁判所の許可を得なければならない。これは、監査役会では、企業の違法行為等についても、討議される可能性があるため、むやみに議事録が公開されると、企業の利益が害されるからである。

監査役会設置会社の債権者は、役員・執行役の責任を追及するため必要があるときは、裁判所の許可を得た上で、議事録の閲覧・謄写を請求することができる。

監査役会設置会社の親会社の社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得た上で、議事録の閲覧・謄写を請求することができる。
第395条 【監査役会への報告の省略】

 取締役、会計参与、監査役又は会計監査人が監査役の全員に対して監査役会に報告すべき事項を通知したときは、当該事項を監査役会へ報告することを要しない。
取締役、会計参与、監査役、会計監査人が監査役会に報告すべき事項があったとしても、監査役の全員に対してその事項を通知したときは、監査役会へ報告する必要はない。

報告事項については、内容が把握できれば十分であるためである。