会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第5章 計算等

第2節 会計帳簿等

第1款 会計帳簿
第432条 【会計帳簿の作成及び保存】

 @ 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。

 A 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に関する重要な資料を保存しなければならない。
会社は、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない(第1項)。会計帳簿とは、一定時期における会社の財産およびその価額ならびに取引その他財産に影響を及ぼすべき事項を記載または記録する帳簿のことである。会社法では、会計帳簿の作成に適時性と正確性を求めている。

会社は、会計帳簿の閉鎖の時から10年間は、会計帳簿とその事業に関する重要な資料を保存しなければならない(第2項)。これは、会計帳簿を事後的に検証できるようにすることで、会計の適正を担保する趣旨の規定である。
第433条 【会計帳簿の閲覧等の請求】

 @ 総株主(株主総会において決議をすることができる事項の全部につき議決権を行使することができない株主を除く。)の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を有する株主又は発行済株式(自己株式を除く。)の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の数の株式を有する株主は、株式会社の営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 1 会計帳簿又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求

 2 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 A 会計帳簿又はこれに関する資料が電磁的記録をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求

 1 当該請求を行う株主(以下この項において「請求者」という。)がその権利の確保又は行使に関する調査以外の目的で請求を行ったとき。

 2 請求者が当該株式会社の業務の遂行を妨げ、株主の共同の利益を害する目的で請求を行ったとき。

 3 請求者が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営み、又はこれに従事するものであるとき。

 4 請求者が会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報するため請求したとき。

 5 請求者が、過去二年以内において、会計帳簿又はこれに関する資料の閲覧又は謄写によって知り得た事実を利益を得て第三者に通報したことがあるものであるとき。

 B 株式会社の親会社社員は、その権利を行使するため必要があるときは、裁判所の許可を得て、会計帳簿又はこれに関する資料について第一項各号に掲げる請求をすることができる。この場合においては、当該請求の理由を明らかにしてしなければならない。

 C 前項の親会社社員について第二項各号のいずれかに規定する事由があるときは、裁判所は、前項の許可をすることができない。
議決権の3%以上か発行済み株式の3%以上を有する株主は、請求の理由を明らかにした上で、会計帳簿の閲覧・謄写を請求することができる。ただし、会社は、第2項各号のような不利益が生じる一定の場合には、請求を拒否することができる。

また、当該会社の親外の社員は、その権利を行使するために必要があるときは、裁判所の許可を得た上で、請求の理由を明らかにし、会計帳簿の閲覧・謄写を請求することができる。裁判所は、第2項各号の不利益が会社に生じる場合は、許可することはできない。
第434条 【会計帳簿の提出命令】

 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、会計帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。
裁判所は、訴訟の当事者に対して、会計帳簿の全部または一部の提出を命じることができる。会計帳簿は、会社の財産状況の立証に不可欠な書類であるためである。