会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第5章 計算等

第3節 資本金の額等

第1款 総則
第445条 【資本金の額及び準備金の額】

 @ 株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。

 A 前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。

 B 前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

 C 剰余金の配当をする場合には、株式会社は、法務省令で定めるところにより、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に十分の一を乗じて得た額を資本準備金又は利益準備金(以下「準備金」と総称する。)として計上しなければならない。

 D 合併、吸収分割、新設分割、株式交換又は株式移転に際して資本金又は準備金として計上すべき額については、法務省令で定める。
株式会社の債権者は、会社の財産だけが唯一の担保となる(第104条)。そのため、会社の債務を会社の財産で弁済できない場合は、不足部分は不良債権となり、会社債権者が損失を被ることになる。そこで、会社から安易に財産が流出してしまわないように、会社法では資本金と準備金という制度が設けられている。すなわち、会社財産の剰余金としての株主に対する配当は、資本金と準備金の合計額を超える部分に限られている。

資本金とは、会社財産を確保するための基準となる一定の計算上の金額のことである。資本金の額は、株主となる者が当該株式会社に対して払い込みまたは給付をした財産の総額である(第1項)。ただし、2分の1未満の額については、資本金に計上しないことも認められており、これを払込剰余金という。

準備金とは、資本金額以上の一定金額に相当する財産を会社に保管させるための金額のことであり、資本準備金と利益準備金の2種類ある(会社法上では両者の扱いに違いはない)。

なお、払込剰余金は資本準備金として計上しなければならない(第3項)。

また、剰余金の配当をする場合、当該剰余金の配当により減少する剰余金の額に10分の1を掛けて得た額を資本準備金または利益準備金として計上しなければならない(第4項)。
第446条 【剰余金の額】

 株式会社の剰余金の額は、第一号から第四号までに掲げる額の合計額から第五号から第七号までに掲げる額の合計額を減じて得た額とする。

 1 最終事業年度の末日におけるイ及びロに掲げる額の合計額からハからホまでに掲げる額の合計額を減じて得た額

  イ 資産の額

  ロ 自己株式の帳簿価額の合計額

  ハ 負債の額

  ニ 資本金及び準備金の額の合計額

  ホ ハ及びニに掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額

 2 最終事業年度の末日後に自己株式の処分をした場合における当該自己株式の対価の額から当該自己株式の帳簿価額を控除して得た額

 3 最終事業年度の末日後に資本金の額の減少をした場合における当該減少額(次条第一項第二号の額を除く。)

 4 最終事業年度の末日後に準備金の額の減少をした場合における当該減少額(第四百四十八条第一項第二号の額を除く。)

 5 最終事業年度の末日後に第百七十八条第一項の規定により自己株式の消却をした場合における当該自己株式の帳簿価額

 6 最終事業年度の末日後に剰余金の配当をした場合における次に掲げる額の合計額

  イ 第四百五十四条第一項第一号の配当財産の帳簿価額の総額(同条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に割り当てた当該配当財産の帳簿価額を除く。)

  ロ 第四百五十四条第四項第一号に規定する金銭分配請求権を行使した株主に交付した金銭の額の合計額

  ハ 第四百五十六条に規定する基準未満株式の株主に支払った金銭の額の合計額

 7 前二号に掲げるもののほか、法務省令で定める各勘定科目に計上した額の合計額
剰余金とは、株主に対する配当の財源となる金額のことである。本条の第1号から第4号までの合計額から第5号から第7号までの合計額を引いたものである。