会社法 条文 会社法 解説
第2編 株式会社

第9章 清算

第2節 特別清算

第4款 監査委員
第527条 【監督委員の選任等】

 @ 裁判所は、一人又は二人以上の監督委員を選任し、当該監督委員に対し、第五百三十五条第一項の許可に代わる同意をする権限を付与することができる。

 A 法人は、監督委員となることができる。
裁判所は、監督委員(法人でもなることができる)を選任し、当該監督委員に対して、清算株式会社が以下の行為をするに際しての許可に代わる同意をする権限を付与することができる。

・財産の処分
・借財
・訴えの提起
・和解又は仲裁合意
・権利の放棄
・その他裁判所の指定する行為
第528条 【監督委員に対する監督等】

 @ 監督委員は、裁判所が監督する。

 A 裁判所は、監督委員が清算株式会社の業務及び財産の管理の監督を適切に行っていないとき、その他重要な事由があるときは、利害関係人の申立てにより又は職権で、監督委員を解任することができる。
裁判所が監督委員を選任した場合、当該監督委員は裁判所が監督する(第1項)。

裁判所は、監督委員が清算株式会社の業務と財産管理の監督を適切に行っていないときやその他重要な事由があるときは、利害関係人からの申し立てまたは職権により、監督委員を解任することができる(第2項)。
第529条 【二人以上の監督委員の職務執行】

 監督委員が二人以上あるときは、共同してその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。
監督委員が二人以上いるときは、共同でその職務を行う。ただし、裁判所の許可を得た場合は、単独で職務を行ったり、職務の分掌を行うことができる。
第530条 【監督委員による調査等】

 @ 監督委員は、いつでも、清算株式会社の清算人及び監査役並びに支配人その他の使用人に対し、事業の報告を求め、又は清算株式会社の業務及び財産の状況を調査することができる。

 A 監督委員は、その職務を行うため必要があるときは、清算株式会社の子会社に対し、事業の報告を求め、又はその子会社の業務及び財産の状況を調査することができる。
監督委員はいつでも、清算株式会社の清算人・監査役・支配人・その他の使用人に対して、事業報告を求め又は清算株式会社の業務と財産状況を調査することができる(第1項)。

また、監督委員は、職務を行うため必要があるときは、清算株式会社の子会社に対しても、第1項と同様のことをすることができる(第2項)。
第531条 【監督委員の注意義務】

 @ 監督委員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行わなければならない。

 A 監督委員が前項の注意を怠ったときは、その監督委員は、利害関係人に対し、連帯して損害を賠償する責任を負う。
監督委員には、善管注意義務が課せられる(第1項)。監督委員が善管注意義務を怠ったときは、会社債権者などの利害関係人に対して、生じた損害を賠償しなければならない。監督委員が複数いる場合、この損害賠償債務は連帯債務となる(第2項)。
第532条 【監督委員の報酬等】

 @ 監督委員は、費用の前払及び裁判所が定める報酬を受けることができる。

 A 監督委員は、その選任後、清算株式会社に対する債権又は清算株式会社の株式を譲り受け、又は譲り渡すには、裁判所の許可を得なければならない。

 B 監督委員は、前項の許可を得ないで同項に規定する行為をしたときは、費用及び報酬の支払を受けることができない。
監督委員は、清算株式会社から職務執行にかかる費用の前払いを受けることができる。また、清算株式会社から裁判所が定める報酬を受けることができる(第1項)。

監督委員は、清算株式会社に対する債権または清算株式会社の株式を、自由に譲り受けまたは譲り渡すことはできない。これらの行為をする場合には、裁判所の許可が必要である(第2項)。もし、これらの行為を裁判所の許可を得ずに行った場合、監督委員は費用や報酬の支払いを受けることができなくなる(第3項)。