会社法 条文 会社法 解説
第3編 持分会社

第8章 清算

第10節 適用除外等
第674条 【適用除外】

 次に掲げる規定は、清算持分会社については、適用しない。

 1 第四章第一節

 2 第六百六条、第六百七条第一項(第三号及び第四号を除く。)及び第六百九条

 3 第五章第三節(第六百十七条第四項、第六百十八条及び第六百十九条を除く。)から第六節まで及び第七節第二款

 4 第六百三十八条第一項第三号及び第二項第二号
基本的に、清算持分会社に対しても会社法の持分会社に関する規定が適用される。しかし、本条各号の規定については、清算持分会社には馴染まないため適用されない。

・第295条〜第325条(社員の加入に関する規定)
・第606条(社員の任意退社)
・第607条第1項第1号〜第2号、第5号〜第8号(社員の法定退社)
・第609条(社員の持分を差し押さえた債権者による社員の退社)
・第617条〜第624条(計算書類、減資、利益配当など。ただし、第617条第4項・第618条・第619条は適用される。)
・第626条〜第627条(合同会社の資本金減少の特則)
・第638条第1項第3号、第2項第2号(定款変更による持分会社の種類変更)
第675条 【相続及び合併による退社の特則】

 清算持分会社の社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合には、第六百八条第一項の定款の定めがないときであっても、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持分を承継する。この場合においては、同条第四項及び第五項の規定を準用する。
本条は、清算手続き中の清算持分会社の社員が死亡(社員が自然人)または合併(社員が法人)した場合においての持分の承継についての規定である。

解散事由が生じていない通常の持分会社において社員が死亡または合併した場合は、相続人や合併後の法人のような一般承継人は当然には持分を承継することはなく、定款により一般承継人が持分を承継すると規定していた場合についてだけ持分を承継する。

しかし、解散事由が生じて清算手続き中の清算持分会社の場合は、当然に一般承継人は持分を承継する(本条)。この場合において、一般承継人が複数いる場合は、それぞれの承継人は連帯して清算持分会社に対する払い込み・給付の義務を負い、権利の行使は指定された者が行う(第608条第4項、第5項)。