会社法 条文 会社法 解説
第5編 組織変更、合併、会社分割、株式交換及び株式移転

第1章 組織変更

第3節 持分会社の組織変更
第746条 【持分会社の組織変更計画】

 持分会社が組織変更をする場合には、当該持分会社は、組織変更計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。

 1 組織変更後の株式会社(以下この条において「組織変更後株式会社」という。)の目的、商号、本店の所在地及び発行可能株式総数

 2 前号に掲げるもののほか、組織変更後株式会社の定款で定める事項

 3 組織変更後株式会社の取締役の氏名

 4 次のイからハまでに掲げる場合の区分に応じ、当該イからハまでに定める事項

  イ 組織変更後株式会社が会計参与設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計参与の氏名又は名称

  ロ 組織変更後株式会社が監査役設置会社(監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある株式会社を含む。)である場合 組織変更後株式会社の監査役の氏名

  ハ 組織変更後株式会社が会計監査人設置会社である場合 組織変更後株式会社の会計監査人の氏名又は名称

 5 組織変更をする持分会社の社員が組織変更に際して取得する組織変更後株式会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法

 6 組織変更をする持分会社の社員に対する前号の株式の割当てに関する事項

 7 組織変更後株式会社が組織変更に際して組織変更をする持分会社の社員に対してその持分に代わる金銭等(組織変更後株式会社の株式を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項

  イ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法

  ロ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法

  ハ 当該金銭等が組織変更後株式会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項

  ニ 当該金銭等が組織変更後株式会社の社債等(社債及び新株予約権をいう。以下この編において同じ。)以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法

 8 前号に規定する場合には、組織変更をする持分会社の社員に対する同号の金銭等の割当てに関する事項

 9 効力発生日
本条は、持分会社が組織変更をして株式会社になる場合において、組織変更計画で決めておかなければならない事項についての規定である。

持分会社に取締役はいないが、株式会社には取締役が必要である(第326条第1項)。そのため、取締役を決めておかなければならない(本条第3号)。

また、株式会社は会計参与や監査役などを置くことができるため、これらの機関を置く予定であれば、担当する者を決めておかなければならない(本条第4号)。

組織変更をすることによって、組織変更前の持分会社の社員には、株式が割り当てられ、組織変更後の株式会社の社員(株主)になる。新しい株式会社が発行する株式のうちのどれだけの数を前の持分会社の社員の分とし、どのように割り当てるのかを決めなければならない(本条第5号、第6号)。
第747条 【持分会社の組織変更の効力の発生等】

 @ 組織変更をする持分会社は、効力発生日に、株式会社となる。

 A 組織変更をする持分会社は、効力発生日に、前条第一号及び第二号に掲げる事項についての定めに従い、当該事項に係る定款の変更をしたものとみなす。

 B 組織変更をする持分会社の社員は、効力発生日に、前条第六号に掲げる事項についての定めに従い、同条第五号の株式の株主となる。

 C 次の各号に掲げる場合には、組織変更をする持分会社の社員は、効力発生日に、前条第八号に掲げる事項についての定めに従い、当該各号に定める者となる。

 1 前条第七号イに掲げる事項についての定めがある場合 同号イの社債の社債権者

 2 前条第七号ロに掲げる事項についての定めがある場合 同号ロの新株予約権の新株予約権者

 3 前条第七号ハに掲げる事項についての定めがある場合 同号ハの新株予約権付社債についての社債の社債権者及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者

 D 前各項の規定は、第七百八十一条第二項において準用する第七百七十九条(第二項第二号を除く。)の規定による手続が終了していない場合又は組織変更を中止した場合には、適用しない。
持分会社が組織変更する場合、組織変更計画を作成し、その中で効力発生日を決めておかなければならない(第746条第9号)。持分会社は、この効力発生日に株式会社に変わる(本条第1項)。

持分会社と株式会社では、商号や定款で決めておかなければならない時効が異なる(第27条以下、第576条参照)。そのため、組織変更計画で、持分会社になった場合に定款に追加・変更しなければならないものを決めておかなければならない(第746条第1号、第2号)。そして、組織変更が効力を発生したときは、定款変更の手続きをとるまでもなく、組織変更計画で決められたとおりに定款変更がされたものとみなされる(本条第2項)。