会社法 条文 会社法 解説
第7編 雑則

第2章 訴訟

第6節 清算持分会社の財産処分の取消しの訴え
第863条 【清算持分会社の財産処分の取消しの訴え】

 @ 清算持分会社(合名会社及び合資会社に限る。以下この項において同じ。)が次の各号に掲げる行為をしたときは、当該各号に定める者は、訴えをもって当該行為の取消しを請求することができる。ただし、当該行為がその者を害しないものであるときは、この限りでない。

 1 第六百七十条の規定に違反して行った清算持分会社の財産の処分 清算持分会社の債権者

 2 第六百七十一条第一項の規定に違反して行った清算持分会社の財産の処分 清算持分会社の社員の持分を差し押さえた債権者

 A 民法第四百二十四条第一項ただし書、第四百二十五条及び第四百二十六条の規定は、前項の場合について準用する。この場合において、同法第四百二十四条第一項ただし書中「その行為によって」とあるのは、「会社法(平成十七年法律第八十六号)第八百六十三条第一項各号に掲げる行為によって」と読み替えるものとする。
持分会社に清算原因が発生した場合、持分会社は清算持分会社として清算手続きに入ることとなる(第644条)。

本条は、清算持分会社が定めた手続き(第670条、第671条)に違反して、財産の処分を行った場合において、その処分を取り消すための訴えについての規定である。この場合、訴えを起こすことができるのは第1項各号に規定されている会社の債権者や社員の持分を差し押さえた債権者となる。

民法第424条、第425条、第426条については、以下を参照。
第2節 債権の効力 第412条〜第426条
第864条 【被告】

 前条第一項の訴えについては、同項各号に掲げる行為の相手方又は転得者を被告とする。
清算持分会社が財産処分を取り消す訴えを行った場合、その被告は、財産処分の相手方か、その相手方からさらに財産を譲り受けた者となる。