会社法 条文 会社法 解説
第7編 雑則

第3章 非訟

第5節 会社の解散命令等の手続に関する特則
第904条 【法務大臣の関与】

 @ 裁判所は、第八百二十四条第一項又は第八百二十七条第一項の申立てについての裁判をする場合には、法務大臣に対し、意見を求めなければならない。

 A 法務大臣は、裁判所が前項の申立てに係る事件について審問をするときは、当該審問に立ち会うことができる。

 B 裁判所は、法務大臣に対し、第一項の申立てに係る事件が係属したこと及び前項の審問の期日を通知しなければならない。

 C 第一項の申立てを却下する裁判に対しては、法務大臣は、即時抗告をすることができる。
会社の設立が不法な目的に基づいてされたときなどは、裁判所は、その会社に対して解散命令を出すことができる(第824条第1項)。外国会社が、日本において不法な目的に基づいて事業を行ったときなどは、裁判所は、その外国会社の日本での営業所の閉鎖命令を出すことができる(第827条第1項)。そして、裁判所がこれらの命令について判断をする場合、法務大臣の意見を求めなければならない(本条第1項)。

そして、裁判所がこれらの命令を出さないと決めた場合においては、法務大臣は即時抗告をすることができる(本条第4項)。
第905条 【会社の財産に関する保全処分についての特則】

 @ 裁判所が第八百二十五条第一項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の保全処分をした場合には、非訟事件手続法第二十六条本文の費用は、会社又は外国会社の負担とする。当該保全処分について必要な費用も、同様とする。

 A 前項の保全処分又は第八百二十五条第一項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の規定による申立てを却下する裁判に対して即時抗告があった場合において、抗告裁判所が当該即時抗告を理由があると認めて原裁判を取り消したときは、その抗告審における手続に要する裁判費用及び抗告人が負担した前審における手続に要する裁判費用は、会社又は外国会社の負担とする。
会社の解散命令、外国会社の営業所閉鎖命令の申し立てがなされた場合、裁判所は、これらの命令について判断をするまでの間、会社の財産を管理人に管理させるよう保全命令を出すことができる(第825条第1項、第827条第2項)。この場合、申し立てなどの手続き必要や保全処分のための費用については、解散命令を申し立てられた会社、営業所閉鎖命令を申し立てられた外国会社が負担しなければならない。
第906条 【会社の財産に関する保全処分についての特則 その2】

 @ 利害関係人は、裁判所書記官に対し、第八百二十五条第六項(第八百二十七条第二項において準用する場合を含む。)の報告又は計算に関する資料の閲覧を請求することができる。

 A 利害関係人は、裁判所書記官に対し、前項の資料の謄写又はその正本、謄本若しくは抄本の交付を請求することができる。

 B 前項の規定は、第一項の資料のうち録音テープ又はビデオテープ(これらに準ずる方法により一定の事項を記録した物を含む。)に関しては、適用しない。この場合において、これらの物について利害関係人の請求があるときは、裁判所書記官は、その複製を許さなければならない。

 C 法務大臣は、裁判所書記官に対し、第一項の資料の閲覧を請求することができる。

 D 民事訴訟法第九十一条第五項の規定は、第一項の資料について準用する。
会社の解散命令や外国会社の営業所閉鎖命令の申し立てがあった場合、裁判所は、管理人を決めて財産を管理させることができる。この場合、裁判所は、管理人に対して、財産状況に関する報告や管理の計算を命じることができる(第825条第6項、第827条第2項)。会社の利害関係人は、裁判所書記官に対して、この報告や計算に関する資料の閲覧・謄写の請求をすることができる(本条第1項、第2項)。また、法務大臣も同じ請求をすることができる(本条第4項)。