会社法 条文 会社法 解説
第7編 雑則

第4章 登記

第1節 総則
第907条 【通則】

 この法律の規定により登記すべき事項(第九百三十八条第三項の保全処分の登記に係る事項を除く。)は、当事者の申請又は裁判所書記官の嘱託により、商業登記法(昭和三十八年法律第百二十五号)の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。
登記とは、取引の安全を確保するための制度である。会社法では一定の重要事項については登記しなければならないと規定している。

登記方法は、当事者が申請するか、裁判所書記官が嘱託するかにより、商業登記法で決められた手続きや様式に従って、商業登記簿に登記されることになる。
第908条 【登記の効力】

 @ この法律の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。

 A 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。
会社法の規定により登記しなければならないとされている事項については、登記した後でなければ、善意の第三者に対して主張することはできない。また、登記した後であっても、第三者が正当な理由により登記について知らなかったときは、主張することはできない(第1項)。

故意や過失により、実際とは異なる嘘の登記をした者は、登記内容が本当であると信じた善意の第三者に対しては、登記内容が実際とは異なるということを主張することはできない(第2項)。
第909条 【変更の登記及び消滅の登記】

 この法律の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。
会社法の規定に基づき登記した事項について、変更が出たり、その事項が消滅した場合は、すぐに変更・消滅の登記をしなければならない。
第910条 【登記の期間】

 この法律の規定により登記すべき事項のうち官庁の許可を要するものの登記の期間については、その許可書の到達した日から起算する。
登記しなければならない事項のなかには、期間が定められているものがある。このような場合で、それが官庁の許可を必要とするものについては、その期間は許可書の到達日から起算されることになる。