労働基準法 条文 労働基準法 解説
第7章 技能者の養成
第69条 【徒弟の弊害排除】

 @ 使用者は、徒弟、見習、養成工その他名称の如何を問わず、技能の習得を目的とする者であることを理由として、労働者を酷使してはならない。

 A 使用者は、技能の習得を目的とする労働者を家事その他技能の習得に関係のない作業に従事させてはならない。
徒弟や見習いなど、技能の習得を目的とする者は、教えを請う以上立場的に弱いことが多い。それを利用し、酷使することは本条により禁止されている。

ただし、本条に違反した場合の罰則は規定されていない。
第70条 【職業訓練に関する特例】

 職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項(同法第二十七条の二第二項において準用する場合を含む。)の認定を受けて行う職業訓練を受ける労働者について必要がある場合においては、その必要の限度で、第十四条第一項の契約期間、第六十二条及び第六十四条の三の年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限、第六十三条の年少者の坑内労働の禁止並びに第六十四条の二の妊産婦等の坑内業務の就業制限に関する規定について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。ただし、第六十三条の年少者の坑内労働の禁止に関する規定については、満十六歳に満たない者に関しては、この限りでない
職業能力開発促進法第24条第1項には、「都道府県知事は、事業主等の申請に基づき、当該事業主等の行う職業訓練について、第19条第1項の厚生労働省令で定める基準に適合するものであることの認定をすることができる。ただし、当該事業主等が当該職業訓練を的確に実施することができる能力を有しないと認めるときは、この限りでない。」、と規定されている。同法第27条の2第2項には、「第22条及び第24条第1項から第3項までの規定は、指導員訓練について準用する。この場合において、第22条中「公共職業能力開発施設の長」とあるのは「職業能力開発総合大学校の長及び第27条の2第2項において準用する第24条第1項の認定に係る第27条第1項に規定する指導員訓練を行う事業主等」と、第24条第1項及び第3項中「第19条第1項」とあるのは「第27条の2第1項」と読み替えるものとする。」、と規定されている。


使用者は、都道府県知事の認定を受けて労働者の職業訓練を行うことができる。この場合、以下の規定については、厚生労働省令(労働基準法施行規則)において別の定めを行うことができる。

条文 内容
第14条第1項 契約期間
第62条
第64条の3
年少者及び妊産婦等の危険有害業務の就業制限
第63条 年少者の坑内労働の禁止
第64条の2 妊産婦等の坑内業務の就業制限


つまり、訓練生は上記について特例が認められているということであるが、逆に言えば、訓練生といえども上記以外については特例は認められていないということである。

そのため、労働基準法の時間外労働や休日労働などは、通常の労働者と同じように所定の手続きをとらなくてはならない(第36条、第37条)。
第71条 【職業訓練に関する特例】

 前条の規定に基いて発する厚生労働省令は、当該厚生労働省令によつて労働者を使用することについて行政官庁の許可を受けた使用者に使用される労働者以外の労働者については、適用しない。
第70条の職業訓練に関する厚生労働省令は、労働者を職業訓練のために使用することについて行政官庁の許可を受けた使用者に使用される労働者にだけ適用される。

使用者が、所轄都道府県労働局長の許可を受けずに1年を超える契約をさせれば第14条に違反し、危険有害業務や坑内労働につかせると第63条に違反する。
第72条 【職業訓練に関する特例】

 第七十条の規定に基づく厚生労働省令の適用を受ける未成年者についての第三十九条の規定の適用については、同条第一項中「十労働日」とあるのは「十二労働日」と、同条第二項の表六年以上の項中「十労働日」とあるのは「八労働日」とする。
本条と第39条の比較については、以下を参照(第39条は第8項まであるが、本条に関係するのは第2項までである。)。

第39条 本条
第1項 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十二労働日の有給休暇を与えなければならない。
第2項 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

六箇月経過日から起算した継続勤務年数 労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年 六労働日
五年 八労働日
六年以上 十労働日
使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

六箇月経過日から起算した継続勤務年数 労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年 六労働日
五年 八労働日
六年以上 八労働日


つまり、未成年の訓練生は、初年度については通常よりも2日多い12日の有給休暇がもらえるということである。そして、5年6ヶ月で最高の20日となる。
第73条 【職業訓練に関する特例】

 第七十一条の規定による許可を受けた使用者が第七十条の規定に基いて発する厚生労働省令に違反した場合においては、行政官庁は、その許可を取り消すことができる。
第71条の規定により職業訓練の許可を受けた使用者は、訓練生の使用について、労働基準法の特例について定めた労働基準法施行規則に違反した場合、許可を取り消されることがある。
第74条 【】

削除
本条は技能者養成審議会についての規定であったが、、職業訓練法の制定により、職業訓練審議会が設置されたため、削除された。

現在においては、職業能力開発促進法に基づいて、職業能力開発審議会が設置されている。
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