商法 条文 商法 解説
第2編 商行為

第8章 運送営業

第3節 旅客運送
第590条 【旅客運送人の責任】

 @ 旅客ノ運送人ハ自己又ハ其使用人カ運送ニ関シ注意ヲ怠ラサリシコトヲ証明スルニ非サレハ旅客カ運送ノ為メニ受ケタル損害ヲ賠償スル責ヲ免ルルコトヲ得ス

 A 損害賠償ノ額ヲ定ムルニ付テハ裁判所ハ被害者及ヒ其家族ノ情況ヲ斟酌スルコトヲ要ス
「@ 旅客運送人は、自分または使用人が運送に関して注意を怠らなかったということを証明しない限り、旅客が旅客運送のために受けた損害を賠償しなければならない。

A 損害賠償額を定めるとき、裁判所は被害者およびその家族の情況を考慮しなければならない。」

家族の情況とは、生活状態とか被害者との依存関係などのことである。
第591条 【手荷物についての責任】

 @ 旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケタル手荷物ニ付テハ特ニ運送賃ヲ請求セサルトキト雖モ物品ノ運送人ト同一ノ責任ヲ負フ

 A 手荷物カ到達地ニ達シタル日ヨリ一週間内ニ旅客カ其引渡ヲ請求セサルトキハ第五百二十四条ノ規定ヲ準用ス但住所又ハ居所ノ知レサル旅客ニハ催告及ヒ通知ヲ為スコトヲ要セス
「@ 旅客運送人は、旅客より引渡しを受けた手荷物について、その運送賃を請求しないときでも、物品の運送人と同一の責任を負う。

A 手荷物が到達地についた日から1週間以内に、旅客がその引渡しを請求してこないときは、第524条の規定が準用される。ただし、旅客の住所や居場所がわからないときは、第524条の催告や通知などは必要ない。」

第524条は、売主による目的物の供託及び競売についての規定である。
第592条 【持ち込み手荷物についての責任】

 旅客ノ運送人ハ旅客ヨリ引渡ヲ受ケサル手荷物ノ滅失又ハ毀損ニ付テハ自己又ハ其使用人ニ過失アル場合ヲ除ク外損害賠償ノ責ニ任セス
「旅客運送人は、旅客より引渡しを受けない手荷物の滅失または毀損については、自分または使用人に過失がある場合を除いて、損害賠償の責任を負わない。」

本条は、持込手荷物についての規定である。
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