商法 条文 | 商法 解説 | ||||||||||||||||||
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第3編 海商 第3章 船長 第1節 物品運送 第2款 船荷証券 |
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第767条 【船荷証券】 船長ハ傭船者又ハ荷送人ノ請求ニ因リ運送品ノ船積後遅滞ナク一通又ハ数通ノ船荷証券ヲ交付スルコトヲ要ス |
「船長は、傭船者または荷送人の請求により、運送品が船積みされた後、すぐに一通または数通の船荷証券を交付しなければならない。」 船荷証券は貨物引換証と同様に、運送品の引渡し請求権のシンボルで、有価証券である。現在、海上運送において、船荷証券が発行されないことはない。 本条と実際的に発行される手順については以下を参照。
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第768条 【船長以外の者に船荷証券の発行を委任】 船舶所有者ハ船長以外ノ者ニ船長ニ代ハリテ船荷証券ヲ交付スルコトヲ委任スルコトヲ得 |
「船舶所有者は、船長以外の者に対して、船長に代わって船荷証券を交付することを委任できる。」 実際的には、船長の発行した「本船受取証」を荷送人が海運会社に持参して、「船荷証券」を発行してもらうことが多い。 |
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第769条 【船荷証券の記載事項】 船荷証券ニハ左ノ事項ヲ記載シ船長又ハ之ニ代ハル者署名スルコトヲ要ス 1 船舶ノ名称及ヒ国籍 2 船長カ船荷証券ヲ作ラサルトキハ船長ノ氏名 3 運送品ノ種類、重量若クハ容積及ヒ其荷造ノ種類、箇数並ニ記号 4 傭船者又ハ荷送人ノ氏名又ハ商号 5 荷受人ノ氏名若クハ商号 6 船積港 7 陸揚港但発航後傭船者又ハ荷送人カ陸揚港ヲ指定スヘキトキハ其之ヲ指定スヘキ港 8 運送賃 9 数通ノ船荷証券ヲ作リタルトキハ其員数 10 船荷証券ノ作成地及ヒ其作成ノ年月日 |
「船荷証券には次の1から10までの事項を記載して、船長または船長に代わる者が署名しなければならない。 1 船舶の名称と国籍 2 船長が船荷証券を作らない場合は、船長の名前 3 運送品の種類、重量もしくは容積、荷造りの種類、個数、記号 4 傭船者または荷送人の名前または商号 5 荷受人の名前もしくは商号 6 船積み港 7 陸揚げ港、ただし発航後、傭船者または荷送人が陸揚げ港を指定するときはその指定すべき港 8 運送賃 9 数通の船荷証券を作ったときはその数 10 船荷証券の作成地と作成年月日」 実際の船荷証券には本条以外にも、詳細な約款が記載される。 1924年にブリュッセルで開かれた国際外交会議で、船荷証券統一条約が成立した。そして、日本においては、1957年に国際海上物品運送法が制定された。この法律のなかで、船荷証券の規定以外にも、運送人の運送品に関する注意義務や免責事由など、様々なことが規定されている。 |
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第770条 【船荷証券のコピーの交付】 傭船者又ハ荷送人ハ船長又ハ之ニ代ハル者ノ請求ニ因リ船荷証券ノ謄本ニ署名シテ之ヲ交付スルコトヲ要ス |
「傭船者または荷送人は、船長またはこれに代わる者の請求により、船荷証券の謄本に署名して、これを交付しなければならない。」 |
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第771条 【数通の船荷証券を発行したとき】 陸揚港ニ於テハ船長ハ数通ノ船荷証券中ノ一通ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキト雖モ其引渡ヲ拒ムコトヲ得ス |
「陸揚げ港において、船長は数通の船荷証券のうちの一通を所持している者が、運送品の引渡しを請求したときでも、その引渡しを拒否することはできない。」 船荷証券は、郵便の遅延や紛失を考慮して、数通作成し別々に荷受人に発送するのが通例となっている。 |
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第772条 【数通の船荷証券を発行したとき】 陸揚港外ニ於テハ船長ハ船荷証券ノ各通ノ返還ヲ受クルニ非サレハ運送品ヲ引渡スコトヲ得ス |
「陸揚げ港以外において、船長は船荷証券の全部の返還を受けない限り、運送品を引き渡してはならない。」 第771条は陸揚げ港において、本条は陸揚げ港以外のところにおいての規定である。陸揚げ港以外においては、船荷証券やそのの所持人の正当性が疑わしいため、発行した船荷証券の全部が揃っていない限り、運送品を引き渡すことができない。 |
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第773条 【二人以上の船荷証券所持人が引渡しを請求した場合】 二人以上ノ船荷証券所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタルトキハ船長ハ遅滞ナク運送品ヲ供託シ且請求ヲ為シタル各所持人ニ対シテ其通知ヲ発スルコトヲ要ス船長カ第七百七十一条ノ規定ニ依リテ運送品ノ一部ヲ引渡シタル後他ノ所持人カ運送品ノ引渡ヲ請求シタル場合ニ於テ其残部ニ付キ亦同シ |
「同時に二人以上の船荷証券の所持人が運送品の引渡しを請求してきたとき、船長はすぐに運送品を供託し、かつ、請求をしてきた所持人にその旨の通知をしなければならない。船長が第771条の規定により、運送品の一部を引き渡した後、他の所持人が運送品の引渡しを請求した場合、残りの部分について供託し、その旨の通知をしなければならない。」 同時に二人以上の船荷証券所持人が引渡しを請求してきた場合、船長は誰に引き渡せばよいのかわからないため、本条の規定がある。 |
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第774条 【船荷証券の所持人に運送品を引き渡した場合】 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ其一人カ他ノ所持人ニ先チテ船長ヨリ運送品ノ引渡ヲ受ケタルトキハ他ノ所持人ノ船荷証券ハ其効力ヲ失フ |
「船荷証券の所持人が二人以上いる場合、そのうちの一人が他の所持人より先に、船長から運送品の引渡しを受けたときは、他の所持人の船荷証券は効力を失う。」 数通の船荷証券を交付した場合、そのうちの一人が運送品の引渡しを受けた場合、その他の所持人の船荷証券の効力がまだ残っていると、混乱が生じるため、本条の規定がある。 |
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第775条 【二人以上の証券所持人の関係】 二人以上ノ船荷証券所持人アル場合ニ於テ船長カ未タ運送品ノ引渡ヲ為ササルトキハ原所持人カ最モ先ニ発送シ又ハ引渡シタル証券ヲ所持スル者他ノ所持人ニ先チテ其権利ヲ行フ |
「船荷証券の所持人が二人以上いる場合、船長がまだ運送品の引渡しをしていないときは、船荷証券を発行してもらった者が、一番先にその船荷証券を発送したか、または、それを引き渡した相手で証券を所持している者が、他の所持人に先立って引渡しを受ける権利を行使できる。」 二人以上の証券所持人間において、誰がまず優先権を持つのかを規定している。 |
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第776条 【貨物引換証の規定の準用】 第五百七十二条乃至第五百七十五条及ヒ第五百八十四条ノ規定ハ船荷証券ニ之ヲ準用ス |
「第572条から第575条、第584条の規定は、船荷証券に準用する。」 船荷証券は貨物引換証の規定を準用する。
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