商法 条文 | 商法 解説 | ||||||||||||||||||||
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第1編 総則 第3章 商業登記 |
本章が規定する商業登記は、商人の営業組織を一般的に明らかにする公示制度である。これにより、商人とその相手方が安全に取引をすることができるようになる。 商業登記とは、商法と商業登記法の規定により商業登記簿にする登記のことである。商号登記簿、未成年者登記簿、後見人登記簿、支配人登記簿、株式会社登記簿、合名会社登記簿、合資会社登記簿、合同会社登記簿、外国会社登記簿の九種類がある。 民法上の不動産に関する登記や船舶登記は、商業登記ではない。 本章で規定されていることは基本的なことであり、登記手続きについては、商業登記法や商業登記規則に規定されている。 |
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第8条 【通則】 この編の規定により登記すべき事項は、当事者の申請により、商業登記法 (昭和三十八年法律第百二十五号)の定めるところに従い、商業登記簿にこれを登記する。 |
商法の規定により商業登記簿に登記をすることがらを、商業登記事項という。以下の表を参照。
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第9条 【登記の効力】 @ この編の規定により登記すべき事項は、登記の後でなければ、これをもって善意の第三者に対抗することができない。登記の後であっても、第三者が正当な事由によってその登記があることを知らなかったときは、同様とする。 A 故意又は過失によって不実の事項を登記した者は、その事項が不実であることをもって善意の第三者に対抗することができない。 |
本条は登記の対抗力(事実を第三者に主張すること)について規定されている。そのため、第三者のほうから登記当事者に対して何かの事実を主張することについては本条は無関係である。 本条1項は、登記当事者と第三者との通常の取引やそれに関連する訴訟関係であれば、強制的登記事項か任意的登記事項かを問題とせずに適用される。また、取引と不可分の関連性がある場合であれば、事務管理(民法第697条以下)、不当利得(民法703条以下)、不法行為(民法第709条以下)についても適用されるというのが一般的見解である。 登記の公示力には以下のものがある。
本条2項は、登記の公信力(真実と異なる外形がある場合、その外形自体(登記事実だけ)を真実なものとして扱うこと)について規定されている。つまり、第三者は登記だけを信じて行動すれば不利益をこうむることはない。 2項を条文通りに説明すると次のようになる。登記当事者はわざとまたは不注意で真実ではないことがらを登記した場合、それが真実ではないと知らない第三者に対して、その真実ではない登記事項から生じる効果を受け入れなければならないということである。 これは登記当事者が真実ではないことを登記した場合であり、登記官のミスによる登記の場合は別である。ただし、それが真実ではないと知りながらその更正や抹消をしなかった者については、本条の類推適用が認められる(東京高昭和41年5月10日)。 |
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第10条 【変更の登記及び消滅の登記】 この編の規定により登記した事項に変更が生じ、又はその事項が消滅したときは、当事者は、遅滞なく、変更の登記又は消滅の登記をしなければならない。 |
登記事項に変更や消滅があった場合、そのことをすぐに登記しなければならない。これは強制的登記事項と任意的登記事項のどちらにも当てはまる。 | ||||||||||||||||||||
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