商法 条文 商法 解説
第1編 総則

第5章 商業帳簿
商業帳簿とは、商人の営業上の財産や損益の状況を明らかにするための帳簿で,、商法上その作成が義務付けられているものである。商人の規模や形態により、作成しなければならない帳簿や規定が違う。

種類 条文 説明
小商人 商法第7条 商業帳簿規定の適用がない。
合名会社
合資会社
会社法第614条以下 個人商人に準ずる
株式会社 会社法第431条以下 詳細な特別規定などがある
合同会社 会社法第625条以下


株主名簿、株主総会議事録、取締役会議事録などは、商業帳簿ではないことに注意する必要がある。
第19条 【商業帳簿】

 @ 商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。

 A 商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。

 B 商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。

 C 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。
第1項は、公正な会計慣行がある場合にはそれに従わなければならないと規定されている。つまり、企業会計原則に従っていれば会計が適正に行われたものと考えられている。また、会社の場合は会社法第431条や第614条にも規定がされている。

第2項は、取引などがあればすぐに商業帳簿に記録しなければならないという規定である。取引があってからの帳簿作成などは以下を参照。
取引 仕訳帳または伝票


補助簿
元帳→損益計算書→貸借対照表
・現金出納帳
・仕入帳
・売上帳
・支払手形帳
・受取手形帳


第3項は、後日紛争などが生じた場合のための規定である。商業帳簿と営業に関する重要な資料は、帳簿閉鎖時から10年間保存しておかなければならない。これは他人から受け取ったものなども含む。

第4項は、紛争があったときなどにおいて、当事者からの申し立てがあってもなくても裁判所が商業帳簿の提出を求めることができるとする規定である。ただし、商業帳簿に特別の法廷証拠力が認められているわけではない。
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